株式会社スマレジの開発部でスマレジのサーバサイドを作っています

情報処理技術者試験は必要?

こんばんは!株式会社スマレジ 、開発部のmasaです。

オミクロン株の亜種が東京都内で市井感染が確認されたりと、出口が見えない状況が続いていますが、 皆様はいかがお過ごしでしょうか?

レジというサービスを作る身としては、今までのような人と人がカウンターを挟んで取引をする日常が戻ってくることを望む一方で、 多様なチェックアウト方式に対応し、どんな時代でも使ってもらえるサービスとして、スマレジ も進化し続けることが大事だなと 日々のお客様からのご要望を見ていると思います。

さて、今日はいつもの個人開発ではなく、社内でここ最近聞かれる話について、僕なりの意見を書いてみたいと思います。

情報処理技術者試験は必要?

最近、この話題を社内でちょいちょい聞かれます。 というのも、masaは実は学生時代に応用情報処理者試験までは合格していて、 他の資格を取っていないエンジニアさんから、この話を伺われることがあるからです。

masaの個人的な意見では、必要な人とそうでない人がいて、多分必要な人の方が多いというのが感想です。 ちなみに、私は前者です。

そもそも情報処理技術者試験って?

このブログ読んでいる人で、知らない人は多分いないと思いますが、論点を整理する意味でも、 一応試験の概要について触れます。

情報処理技術者試験は、独立行政法人IPA情報処理推進機構)が実施している国家試験の一つで、試験の主体は経済産業省になります。

www.jitec.ipa.go.jp

IPA情報処理の促進に関する法律の第四章に規定されている、

プログラムの開発及び利用の促進、情報処理に関する安全性及び信頼性の確保、情報処理システムの高度利用の促進、情報処理サービス業等を営む者に対する助成並びに情報処理に関して必要な知識及び技能の向上に関する業務を行うことにより、情報処理の高度化を推進すること

を目的とする団体になります。

ちなみに、この情報処理の促進に関する法律は昭和四十五年に施行され、今も頻繁に改正が行われています。 (意外に昔からあるんですね・・・)

elaws.e-gov.go.jp

masaIPAのサイトに載っている情報では、試験以外だと契約書の雛形とか、非機能要件のチェックリスト、設計書のテンプレートなんかをお仕事で見たことがあります。(前の会社にいた頃の話ですが)

網羅的に書かれている資料が多く、意外と有用なものも多いので、車内の資料やネットに転がっている他の資料と比較しながら、資料作成をしていた記憶があります。

情報処理技術者試験が有用な人

この試験も上述の「情報処理の高度化を推進」するための目的の試験であり、IPAのサイトには以下の3つの目的が掲げられていて、 それぞれが有用な人の人物像に当てはまります。

1.情報処理技術者に目標を示し、刺激を与えることによって、その技術の向上に資すること。

2.情報処理技術者として備えるべき能力についての水準を示すことにより、学校教育、職業教育、企業内教育等における教育の水準の確保に資すること。

3.情報技術を利用する企業、官庁などが情報処理技術者の採用を行う際に役立つよう客観的な評価の尺度を提供し、これを通じて情報処理技術者の社会的地位の確立を図ること。

1はいわゆる「勉強のマイルストーンにしてね」というところかなと。 ただここでいう「勉強」はプログラミングではないです!

情報処理技術者試験で、プログラミングについて「直接的に」聞かれるのはほとんどないです。 基本情報処理者試験の言語別問題とアルゴリズムくらいかな。

反面、アーキテクチャやネットワーク、データベースなどITを構成する技術については、その粒度を変えて実にいろいろな形で試験します。 また、マネジメントやITサービス業における経営戦略など、組織人向けのものや経営層向けの試験も存在します。

このプログラミング以外の知識って、特に大学や専門学校などでITを学ばないでエンジニアになった人にとってこの試験が唯一基礎を身につける機会になっているんじゃないかなって、周りを見ていると思います。体系的に学ばずにこの業界に来た人にとっては、業務で得た偏った知識を平にする意味では、ありなんじゃないかなと思います。

また、エンジニアでなくても、SaaSビジネスの営業は上流SE的な能力を求められる場合もありますので、そういった方にも提案の精度を上げる意味ではおすすめかもしれません。(実際、ASPのエンジニアが顧客システムと自社システムのアーキテクチャを提案することって、工数や人員の問題で難しい場合が多いです。その商談の規模が大きければ別ですが)

2は、逆に専門的な学習期間でプロパーとして学ばれてきた方や企業内のシニアエンジニアの方が、その能力を学校・職場で評価してもらう意味での利用かなと思います。

3は、いわゆる就職活動用ですね。これは言うまでもなく、持っていないより持っている方が有利になる場合が多いです。 特に公共系の案件を扱うSIer(特にプライムベンダー)などでは、入札段階でその会社のエンジニアの情報処理技術者試験合格者の保有率などが関わるケースもあると、(これも前の会社で)聞いたことがあります。そういった会社に転職を希望される方は、最低でも「応用情報処理技術者試験」までは持っておいた方がいいかなと思います。

ただ、試験合格を要求する会社や自治体に関して言えば、上記の事情で「持っているのは大前提」という感じが多い気がします。なので他の志願者も資格を持っていることが多いです。なので持っているからと言って有利に事を運べるわけではなく、むしろ「受験できる企業が増える」くらいの認識の方がいいと思います。

情報処理技術者試験が無用な人

上記の1~3に該当しない人は不要だと思います。ただ、特に1については「未経験からエンジニア!」みたいな人はほぼ全員当てはまると思うので、人口的には多いんじゃないかなと思います。

masa的に取得して良かったこと

一番感じるのはアーキテクチャや技術的な課題について説明するときに、同じ資格を持っている人だと同じ用語を使って説明ができるので、私が楽ですし、先輩エンジニアの説明を受ける時も、持っている人の説明の方が吸収しやすいです。

あとは、変な話ですが不具合や問い合わせの対応で真価を発揮することが多いです。 開発部で対応する問い合わせの多くは、技術的に込み入った内容になります。 その内容を適切に表現するには、標準的な表現を用いることが大事になってきますし、お客様側も、

  1. 障害の概略
  2. 障害の原因
  3. 短期的および恒久的な対応の概略

この3点について説明を求められる場合がほとんどです。 でもこれって午後試験の与件文を解くのとほとんど同じなんです。

なので、プロダクトエンジニアを目指す方は特に有効な資格なんじゃないかなと思っています。